サ高住の「いま」。「Sensin NAVI NO.222」
- 2019.11.15
- 高齢者福祉
- sensin
「サ高住。サービス付き高齢者向け住宅のことね・・」
「はい」
これまで、介護を要する高齢者を主に受け入れていたのは「特別養護老人ホーム」でした。ほかにも介護老人保健施設や認知症対応型グループホームなどの施設もありましたが、期間が設けられていたり、状態によっては対応が困難なことなどの事由にて、特に重度者の受け入れ先として比重が高かったわけです。
しかしながら、そんな需要に対し、介護を必要とする高齢者は急増し、いわゆる「特養待機者」が増大していきます。
それら課題に対し、新たな受け皿として国が整備していったのが「サービス付き高齢者向け住宅」、通称「サ高住」です。
サービス付き高齢者向け住宅は、「高齢者住まい法」の改正により創設された介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅です。
この制度は、高齢者が安心して生活できる住まいづくりを推進するために制定されました。
住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面の条件を備えるとともに、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供することなどにより、高齢者が安心して暮らすことができる環境を整えています。
現在令和元年10月時点において、そのサ高住は全国に約7,500棟あるとされており、その戸数はなんと約250,000。5年ほど前には、全国で2,000棟から一気に4倍近く増加していることになります。
高齢者の居住の安定を確保することを目的に、バリアフリー構造などを有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の制度が作られました。
その登録基準は「設備」「サービス」「契約」それぞれに基準が設けられています。
その基準について、順を追って説明していきます。
①「設備」に関しては、各専用部の面積が原則25平方メートル以上であること。
各専用箇所に、台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備えたものであり、バリアフリー構造が必要となります。
②「サービス」面では、安否確認と生活相談サービスが必須です。
③「契約」に関しては、専用部分が明示された契約を書面によって締結することが求められるほか、長期入院などを理由に事業者からの一方的な解約などを防ぐ内容になっている必要があります。
受領できる金銭は、敷金・家賃・サービス対価のみで、権利金などの受け取りは不可となっています。
国はこうした高齢者向け住宅の整備を推進し、補助金制度や税制優遇の効果もあり、
これまでに多くのサ高住が全国で整備されています。
しかし一方で、介護保険制度によるサービスではないことから、その入居費用や食費等高額な現状があります。
特に関東や関西などの首都及び都会圏では、食費を含めて月20万円を超えるものも珍しくありません。
なかには50万円台、さらには100万台の物件もあるそう。
また、「サービス付き高齢者向け住宅」には入居者の数に対して、
職員が何名必要といった基準がそもそもありません。
介護保険制度に基づく「特定入居者生活介護」の指定を受け運営する場合などは、入居者3人に対して職員1人以上の職員配置が義務付けられます。大半のサ高住はそうではなく、運営側の独自の基準で運営しているわけです。
もちろん、絶対条件の安否確認と生活相談は提供しなければならないサービスなので、必要最小限の人員はいます。ですが、人員基準が明確化されていないことで、運営側によってはサービスのバラつきがみられているよう…。
運営する企業や法人などににとっては、この人員基準の曖昧さこそがコスト削減のポイントとなるためと言われています。
しかし!人員が希薄する中での支援は、施設内事故等にも繋がりかねません。特別養護老人ホームは、入居者に対する介護及び看護職員の割合が明確に定められており、それがいわば事業を運営するための最低条件となります、もちろん夜間帯も人数に応じた配置が求められること、さらには看護職員といった医療従事者も配置されています。
サ高住との大きな違いはここにあり、重度化した際の支援といったところではやはり不安が残ります。もちろんサ高住によっては、その運営主体によって、介護・看護職員等手厚く配置しているところもありますし、例えば重度化に対する特別養護老人ホームへの移行なども、事業者間にて円滑に実施しているところもあります。
サ高住を選択される場合は、入居に係る費用はもちろんですが、
直接的介護や相談機能を含めた「日常の支援体制」のほか、「今後重度化した際の対応」「医療的ケア」も視野に入れた決定が望ましいと考えます。
・・・・ですのでサ高住を検討される場合は、こうした内容も加味しながら慎重に選択していただければと思います。
これからますます需要が高まる高齢者の住まい。
安心と安全に繋がる生活の場として、今後どうなっていくのか。
そんなサービス付き高齢者向け住宅の「いま」をお送りしました。
それではまた。
「なるほどな。現地でしっかり内容を確認した上での選定・・・というわけだ」
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